演奏時間と転換時間の決め方はわかったけどこれでタイムテーブル作れるの?まだ細かい決まり事とかありそう…
前回、前々回と演奏時間・転換時間の計算や予測の仕方を説明してきました。今回はこれまでの時間配分をパズルのように組み合わせてタイムテーブルを実際に完成させて作り方をマスターしちゃいましょう!
タイムテーブルを作るのは実は楽しいのです!
何もわからないとどこから決めたらいいのかわからなくて投げ出したくなるかもしれませんが、これまで紹介した記事のノウハウを組み合わせれば簡単にタイムテーブルは作れますので今回は細かい注意点の補足をしつつ作成してみましょう。
タイムテーブルを構成する要素
タイムテーブルは項目ごとに時間を配分していけばできちゃいます。
そのタイムテーブルを構成している項目はコチラです。
- スタッフ入り時間
- アーティスト入り時間(機材搬入込)
- リハの時間
- リハの転換時間
- 調整時間
- オープン
- スタート
- 本番の演奏時間
- 本番の転換時間
- 音止め時間・客出し時間
おおよそ、この10項目を抑えておけばタイムテーブルは作れるでしょう。
では①から解説します。
まず、まだ説明していないスタッフ入り時間です。
ライブハウスのスタッフ、特に照明やPAといった技術スタッフはアーティストよりも早く現場について準備をします。
1日トラブルが起きないように機材を確認したり、その日に合わせたPAのチューニングや照明のシュートといった作業をするのです。
必ず必要な時間になりますのでアーティストの入り時間だけ考慮してスタッフの入りが間に合わないような無茶な設定にはできません。
このスタッフの入り時間は目安としてリハ開始の1〜1.5時間前くらいを設定するのが一般的かと思います。
ライブハウスやスタッフによっても変わりますので、ライブハウスの担当者と相談して決めるのがいいでしょう。
2ステージ組んだりフロアライブだったり、野外などではもっと時間が必要になります。
次に②のアーティストの入り時間です。
基本的にはリハーサルに間に合えばいいのですが、何も言わないと平気で遅れてくることもあるかもしれませんので設定しておきましょう。
セットリストやセット図、チケットリストの記入や機材搬入などリハ前にもやることはたくさんあるので最低でも30分前には到着しておくように記載しましょう。
リハーサルで何をすべきか、やるべき事などはコチラで詳しく書いてるのでイベンターの方も参考にして下さい。
続いて③のリハの時間です。
これも上の記事の説明をみてもらえばわかる通り、ライブをする為に必要な時間です。
本番を長くしたいからとリハ時間を削ってもリハで押してオープンできず、外でお客さんを待たせることになりかねません。
30分前後は必ず必要となります。
バンドに乗り込みのオペレーターなどがいる場合は少し余裕を持った時間設定にした方が確実に進行できるでしょう。
リハができない出演者がいるかどうかは必ず確認しましょう。
リハーサル無しならその分、他のバンドに時間が振れるかもしれませんし、入り時間を遅くできるかもしれません。本番の演奏時間を少しでも長くできるかもしれません。
当日のリハーサルの時間になって「やっぱり無しになりました」だと丸々その30分なりの時間が無駄になります。
続いて④のリハの転換時間です。
これは基本的には前々回の記事の転換時間の決め方を参考に決めれば問題ありません。
ただリハーサルの転換は本番よりも短めに設定しても良いかもしれません。
本番はトラブルになっては困るのでしっかり時間をとりましょう。
リハが終わり⑤です。
リハーサルをして転換をしてリハーサルをして…と繰り返して全部のリハが終了したら調整時間を作りましょう。
これも記事を書いていますのでご覧下さい。
PAや照明さんはお客さんが入る前の音や明かりを作る最終チェックの時間となり、バンドもリハ終わりに機材のチェックをしたり物販の準備をするでしょう。
イベントの企画者は関係ないかと言われればそうではなく、リハなどトラブルで時間が押した場合にはこの時間で辻褄合わせができますし、チケットリストをまとめたり、会場の装飾などもできる時間となります。
それではいよいよ⑥⑦のオープンとスタート時間です。
開場と開演はライブハウスであれば30分くらいの設定で間に合うと思います。
多くの集客が見込める場合や大きめの開場を利用する場合はもう少し長めに時間を設けてもいいでしょう。
他にも、ライブスタートの前にDJや余興をやりたいなどといった時も長めに設定しましょう。
さあライブの本番が始まりました。
⑧⑨の本番の演奏時間、本番の転換時間は前回、前々回の記事の通りです。
転換時間と本番の時間が決まったら無事にライブは終了することになります。
あとは最後⑩の音止めと客出し時間です。
音止め時間はライブハウスごとに設定されている時間があるはずです。
近隣に住宅などがある場合は早めに設定されていることもあるのでライブハウスの担当者に必ず音止め時間は聞いておきましょう。
客出し時間も重要です。
ライブが終わってファンの人なんかはアーティストと物販コーナーでおしゃべりしたいものです。しかし、いつまでたっても帰らないとスタッフもいつまでたっても片付けができません。
お客さんが自主的に帰るのを待っていたら片付けできずスタッフが終電を逃す事態にもなります。
ですので、急かさないまでもリミットの時間を決めて撤収時間を決めます。
これでタイムテーブル作りは完璧です。
コツは終了時間から決めていく
入り時間から時系列でタイムテーブルの構成を確認しましたが、実際に作る時には終了の時間から決めていく方が簡単です。
入りの時間よりも音止めや完全撤収の時間の方がシビアに決まっている為ですね。
もちろんライブハウスを借りる時は何時からと開始時間も決まっていますが相談して融通がきくこともあるかもしれませんし、追加料金で対応できるかもしれません。
しかし音止めは絶対です。近隣の苦情があると営業ができなくなってしまうのです。
ですのでタイムテーブルを作るときは終わりから組み立てていくのがコツです。
実際に作ってみよう
実際にタイムテーブルを作るのはパズルのように時間を組み合わせていくだけの楽しい時間です。やってみましょう。
今回は例としてスタンダードに5バンドで持ち時間30分で転換時間15分としましょう。
全部リハありです。
まず終わりの時間を21:30としましょう。22:00客出しで22:30で完全撤収。
そうなると…
22:00 客出し
21:30 5バンド目終了
21:00 5バンド目開始
転換
20:45 4バンド目終了
20:15 4バンド目開始
転換
20:00 3バンド目終了
19:30 3バンド目開始
転換
19:15 2バンド目終了
18:45 2バンド目開始
転換
18:30 1バンド目終了
18:00 1バンド目開始
と、ここまでスムーズに決まります。
すなわち開演18:00開場17:30になりますね。
ライブハウス入り口の看板風にすると
ってな具合です。
あとは同じようにリハとリハの転換時間を決めていきます。今回はリハは25分に設定して転換は10分としましょう。
調整時間
17:00 1バンド目リハ終了
16:35 1バンド目リハ開始
転換
16:25 2バンド目リハ終了
16:00 2バンド目リハ開始
転換
15:50 3バンド目リハ終了
15:25 3バンド目リハ開始
転換
15:15 4バンド目リハ終了
14:50 4バンド目リハ開始
転換
14:40 5バンド目リハ終了
14:15 5バンド目リハ開始
13:15 スタッフ入り
このように逆から決めていけば頭のスタッフ入りまで必然的に決まります。
実際に今回のこの例をライブハウスにあるようなタイムテーブルの表にするとこんな感じ。
あとは入りの時間が○○時05分とかになってしまうなら切り良く00分入りにして会場準備の調整時間を5分削ったり、あとはリハが無いバンドがいればそこを削って本番の転換時間に+10分したり、機材が多いバンドがいたら足したりアレンジは自由です。
そのアレンジの仕方や工夫が腕の見せ所でもあります。
転換時間を多くとってもその間にお客さんを飽きさせないアイディアもあるでしょう。
あとはどんなイベントにするか企画者の色を出して最高のイベントにして下さい。
ライブイベントをやってみたいけど、わからなくて1歩を踏み出せない方も、私のPA的目線でのタイムテーブルの作り方をぜひ参考にしていただき、ライブハウスのブッキング担当やイベント担当の方とも相談し、ライブイベントで忘れられない1日を作ってみてはいかがでしょうか!
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