ハウリングなんてPAの腕次第で起こらないようにできるだろ!また仕事放棄か!?
またモヒカンくんに怒られてしまいました。
確かに原因としてPAの腕も影響していないわけではありません。しかし、仕事放棄ではなく、仕方のない場面というのもあります。PAの努力で回避できるパターンと、ミュージシャンが知っていれば回避できるパターンがありますので解説していきたいと思います。
ピーという耳が痛くなるハウリングって嫌ですよね。ミュージシャンもモニターから大音量で鳴るわけで耳にも良くないですし、お客さんも不快ですし、PAだって良い音を届けたいわけですから最大限起こらないように頑張っています。
しかし起こるときは起こるんです。
起こる要因は様々あるのですが、その中でも主要因となるパターンを紹介していきます。
知ることで防げることもあるかと思うので勉強してみましょう。
PAの調整不足でハウる
モヒカンくんの言っているようにPAのせいでハウリングが起こってしまうパターンです。
PAというのはハウリングが起きないように毎日毎日音の調整をしています。
PAはミュージシャンが現場に到着する何時間も前から準備をしていて万全の状態を作っています。
ですので普段はなかなかハウリングは起こらないようになっているのです。
しかし、確かにPAオペレーターになりたてで未熟な人が担当することもないとは言えません。
誰しも最初は初心者から始まり、超ベテランのハイパーPAでも必ず最初の現場というものがあったのです。
そういった未熟故、ハウリングポイントが処理できていないことによるハウりという原因も考えられます。
しかし、新人オペレーターでない場合はどうでしょう。
ベテランだけれど、あまりにセンスがなく調整や準備ができないPAというのはどこの音響会社でもライブハウスのPAでも私は見たことがありません。
新人オペレーター以外で音響さんの調整不足が一番の要因になることは少ないんじゃないかと思います。
なぜなら、ライブであなたのバンドでハウリングが起こった経験があった時、他の対バンの本番中もハウリングが起きていましたか?
全バンドでハウリングが起きていたならPAの腕が足りないと言えるかもしれませんが、きっとそんなことは少ないんじゃないかと思います。
そうなると、他のバンドでは起きなくて自分のバンドでだけで起きた他の原因があるかもしれません。
その原因をこれから探っていきます。
モニターを返しすぎてハウる
この原因がこのテーマで答えであると言っても過言ではないです。
極論を言えばモニターに何も返さなければステージ上ではハウリングは起きません。
モニターを返せば返すほどハウリングが起きるリスクが高まります。
前々回に書いたこちらの記事にも書いていますが、いくらチューニングが完璧でもモニターを返し続ければ必ずハウリングは起きます。
ですのでモニターの返しすぎが原因のハウリングならモニターを少なくしても演奏できるようにするのが解決方法です。
モニターが必要だから上げてるんだろ!ってモヒカンくんの声が聞こえてきました。
それならボーカルのモニターを下げても聞こえるように楽器の音量も下げれば良いだけです。
ギターやベースならアンプを絞ったり、ドラマーで力のコントロールが難しいのであればドラム自体にミュートをして音量を下げれば良いのです。
声が小さいからモニターをたくさん返さなきゃならない。それなら大きい声を出せるように努力をしてみましょう。
大きい声が出せたらモニターも必要以上に返さなくて良くなるかもしれません。そうすればハウリングは起きません。
ハウリングのリスクがあるスピーカーに頼るより、努力してバンドの力を上げたほうが良いと思いませんか?
ほぼ大概はモニターを下げる、これだけで解決できます。
他の要因もまだまだあるのでみていきましょう。
モニターにマイクを向けてハウる
ハウリングとはモニターから出た音がマイクに入り、その音が増幅され、またモニターから出て、それをまたマイクが拾い…と増幅のループが起りピーとかブオーンとか耳障りな音が鳴ります。
音がループしてハウるというのはカラオケなんかでも一度は体験したことがあると思うので感覚的に分かる方もいるかと思います。
「マイクをスピーカーに向けたらハウるんじゃないか」と想像ができたら回避できる案件です。
しかし、ライブの現場ではマイクをスピーカーに向けるという行為が普通に起こります。
カラオケなんかの比にならないくらいの大音量が鳴っている環境でマイクがスピーカーに向けられてしまうのです!!あー怖い!
それはどういった場面かというと
ギターボーカルやベースボーカル、キーボードボーカルやドラムボーカルなど楽器を兼任しているボーカルマイクではなかなか起きないのですが、楽器なしのボーカル専業の人ではそれが簡単に起こってしまいます。
では久々に絵を見てみましょう。
ボーカルの方が熱唱していますね。最高にかっこいいです。
おっと、間奏に入りました。
間奏の間はボーカルの人は歌わないのでマイクを持った手をおろしています!!あぶなーい!
マイクを下ろした瞬間ハウリングが起きてしまいました。
そうなんです。
マイクを持った手をだらーんと下ろすとちょうど良いところにモニタースピーカーがあるんですね。
モニターの真前にマイクがあればそりゃハウります。
カラオケでも天井に吊るされてるスピーカーにマイク向けたらハウるじゃないですか、それと同じことです。
もちろん、そこまで予測してPAが手を下げた時だけモニターを下げてハウリングを回避するってこともできないこともないです。
しかし、PAは基本的にはメインスピーカーから出る客席向けの音を調整するのに神経を集中させています。
モニターだけに集中するのは難しいのです。ライブハウスだとステージ上の手元までPAブースから確認できないことも多いでしょう。
メインの音をコントロールするPAとモニターの音をコントロールするPAが別れているような大きな会場でできるようになれば解決できるかもしれません。
しかし、毎回それくらいの会場でやるくらいでないのなら歌わない時のマイクの持ち方をちょっと工夫してみるのもハウリング対策の一つになります。
メインスピーカーにマイクを向けてハウる
モニタースピーカーにマイクを向けたらハウってしまうというのはわかっていただけたと思います。
モニターよりももっと爆音が出ているメインスピーカーに向けたらそりゃもっと危ないでしょっていうのは想像できると思います。
しかし、某バンドみたいにマイクを持ったまま客席に飛び込んでそのまま歌うなんてこともよく見るようになりました。
かっこいいと思って真似してもハウリングで痛い目に合うかもしれません。
ああいった演出はやるアーティストも客席へマイクを持って出て行ったら何が起こるか理解しているし、専属のPAが客席に出ることを想定して準備をしています。思いつきで真似したところで同じようにいくとは限りません。
特にライブハウスだと狭いですし、ステージ前に出てきて手を横に広げただけでメインスピーカーにマイクを向けてしまう可能性もあります。
テンションが上がって盛り上げるのはとても良いですが、少し先の未来を読めると尚良いです。
上手いボーカルはそれが無意識にできるのです。
マイクのヘッド部分を握り込んで持ってハウる
これまでも幾度となく議題にしていますが、マイクを握り込んで持つことはカッコいい?ということ以外にメリットはありません。
ハウリングが起きやすくなるというのもマイクを握り込むことのデメリットの一つです。
とりあえずマイク握りがちボーカリストはこちらをみて下さい。
これを読んだ上でも「俺はマイクを握り続ける!」という強いポリシーがあるならそれは否定しません。
しかし、とにかくデメリットしかないというのは理解して握って欲しいのです。
マイクのヘッド部分を握り込んで持つと簡単にハウリングも起こります。
マイクというものはヘッド部分を覆われることを前提に作られていないのです。
「じゃあ握った状態でハウらないようにチューニングすればいいだろ」って意見もありそうですが、握った状態でハウらないようにしたら、たくさんのポイントをカットすることになりモニターはモコモコで何を歌っているのかわからないような音になってしまいます。
ハウらないけど聞こえづらい音質だからモニターをさらに上げる→ハウる。
結局何も解決しません。
マイクを握り込みたいというポリシーがあるのならモニターが少なくてもできる、モニターの音質が悪くてもライブできるくらいの努力も必要です。
持ち込みマイクが特殊or壊れててハウる
ボーカリストが自分のマイクを持ち、そのマイクの特徴を掴みコントロールできるようになることは素晴らしいことです。
こちらの記事で詳しくMYマイクを持つことの重要性を解説しています。
自分のマイクとしっかり向き合えばボーカリストとしても一つ上のステージに上がれると言っても過言ではないと私は思っています。
しかし、それはまともなマイクを使ったら、の話です。
雑に扱って落としたり、唾がついたまま洗っていないグリルをずっと使っていたり、コンディションの悪いマイクを使っていたらマイクとしての100%の力を発揮できず時にハウリングの原因になってしまうこともあります。
マイマイクを使うならしっかりとメンテナンスをして万全に使える状態にしておきましょう。
まともな市販されているマイクなら良いのですが…
こちらの記事で解説しているような、オークションサイトなどで売っているコピー商品を使っちゃっていたり、無名のメーカーの安いマイクなどではこれまたハウリングの原因になりかねません。
マイマイクを使うのなら、最低限ライブハウスに常設されているマイク以上のものを手に入れましょう。
モニタースピーカーの特徴知ることも重要
上で説明したように色々な要因でハウリングが起こっているということはわかってもらえたかと思います。
これらの要因も一部ではありますが、だいたいハウリングが起こる時はどれかに当てはまってるはずです。
PAがハウリングしないように調整を頑張ることも大事ですが、ミュージシャンのちょっとした気付きで回避できたりもします。
こちらの記事ではモニタースピーカーの特徴についても詳しく解説をしています。
モニタースピーカーのことをよく知り、仲良くなることでもあの忌まわしきハウリングと決別できるかもしれません。
ミュージシャンに対して説教がましく解説しやがってウゼーと不快に思われる方もいるかもしれません。
しかし私のこれまでの経験だと、かっこいいバンドというのはここで解説している基礎がみんなできているんですよね。売れているバンドもできていることが多いです。
これをみて下さっている方がどんな音楽活動を目指しているかはわかりませんが、音楽をやるからには音が良い方が良いですし、売れたいなら売れるようになってもらいたい、そう思って上手い人がやっているコツをこうして解説しています。
盗めるところは盗んで良いライブを目指してくれたら私も嬉しいです。
ライブというものは演奏のほかにも気をつけることが数多くありますが、音響について詳しくなることはライブの迫力を増すこと良いライブにすることにつながっていきます。
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