そんなの関係ねーだろ!バンドはカッコイイかどうかだ!そういう調整はPAがやれ!
モヒカンくんの言うとおりバンドはカッコよければ正義です。しかし、音作りも含めてカッコよさは決まるのです。ライブハウスくらいのサイズの会場だとバンド側がライブやデッドや回り込みを意識するか否かでサウンドやプレイに影響もあるので解説していきます。
今回はバンド中級者向けの内容です。
ライブハウスで演奏することに慣れていないうちはまだまだ他にやることはたくさんあります。これとか↓
これとか↓
ライブハウスなどでお客さんの前でも堂々と、そつなくライブができるようになったら今回のテーマについて意識できるとさらに上のステップへ上がれること間違いなし!
PAだけで調整できる問題ではない
これまでの記事でも何度も説明していますが、ドームやアリーナやスタジアムでなくライブハウスであればバンドが出すアンプやドラムの生音がお客さんが聞く音に大きく影響します。
ジェットエンジンが爆音で唸ってる横で一生懸命歌っても聞こえないですよね。マイクがあれば歌だけ拾うから聞こえるって?喝だこれ!
マイクが魔法のように声だけを拾えたらどれだけ楽か…しかし残念ながらマイクにも歌声と一緒に爆音のジェットエンジンの音が入るのです。
よくテレビでボーカリストがバンドセットで演奏する時にバックバンドのドラムの前に透明のアクリル板みたいなのが立ってるの見たことないですか?
あれはまさしくボーカルのマイクにジェットエンジンの音が入らないようにしてるわけです。
ドームなんかも反響が大きい会場ですが、近年ではラインアレイのスピーカーなどPAのシステムでコントロールします。対してライブハウスではステージ上でのバンド側の音作りでのコントロールとPAでのコントロールとどちらもサウンドに影響があるので同じベクトルで音を作っていかないと望んでいるサウンドに近づけないかもしれません。
狭い場所でのライブの音作りはバンドとPAの共同作業なんです。
ライブorデッドでどう変わる?
では本題。ライブな会場とデッドな会場って今まで意識したことあったでしょうか?
まず、言葉の説明。ライブというのは箱鳴りがある会場。デッドは逆に箱鳴りの少ない会場という意味合いで今回は説明していきます。
意味としてこんなところですが、音が響くと言っても会場ごとに千差万別です。
壁の材質だったり、壁の角度、床の材質、天井の高さ、スピーカーの向きや客席の奥行き、PAのチューニングなど、あらゆる要素が絡み合ってその会場の鳴りになります。
色々なところでライブをするようになると少しずつ理解してくるはずですが、色々な会場でのライブを経験をしてないとわからないことかもしれません。
しかし、ここのステージは演奏しやすい、逆に演奏しにくいというのはあるのでは?
まさにそれはライブかデッドかで演奏のしやすさを左右しているポイントにもなっています。
ライブな会場の特徴
さっき説明した通りよく反響します。
その反響が良い反響か悪い反響かどちらもありえます。
オーケストラホールなんかは良い反響になるよう設計されています。
教会でのゴスペルなんかも反響が気持ちいいですよね。
対してフラッターエコーなどと言って平行な壁で音が反射を繰り返して耳障りな高音が出たりする悪い反響もあります。
実際にライブをする時はその会場の鳴りをどう味方につけるかが重要です。
鳴りが良ければその箱鳴りを活かしてエフェクターのリバーブを薄くした方が良いサウンドを作れるかもしれません。
鳴りが悪くても聞き苦しい周波数のポイントをアンプのEQでカットしたり、ドラムをチューニングしてその会場に合うように調整できれば他のバンドとは大きな差をつけられます。
自分の音を作るのがまず最初の課題ですが、バンド中級者になって会場が変わっても会場の鳴りに合わせて自分の音がいつでも同じように出せたら強いです。
しかし、これは”こうするもの“という回答はなく、その会場とそのバンド次第で答えは無限にありますので自分で目指す音を探していくしかありません。
デッドな会場の特徴
デッドな会場は吸音がしっかりされ反響や残響が少ない会場です。
ライブハウスで黒くて、ちょっと柔らかめで、丸いボタンみたいなのが等間隔についたステージの壁あるじゃないですか。ああいうので吸音して響かせないようにしてスピーカーでしっかり音を出す、残響もコントロールするというのがデッドな会場です。
ライブな会場とは逆でデッドであれば音作りしたものが同じニュアンスで客席にも伝わりやすいでしょう。
客席へのサウンドは、ライブな会場だとステージ上のバンドが出す音とPAのスピーカーからの音が混ざり合って届くイメージでしょうか。対してデッドだと、PAのスピーカーから鳴ってると感じる比率が多くなります。
もしかしたらデッドなところではPAへバンドの目指すサウンドを細かく伝えた方がいい結果を得られるかもしれません。
回り込みも意識しよう
外音の回り込みも気にしてみましょう。
リハーサルではよく聞こえてたけど本番になったら急に音が寂しくなった!なんて経験はないですか?
これなんてまさに音の回り込みが鍵です。
リハーサルでは客席向けの音がステージに回り込んでその音をモニターして演奏していたんですね。
しかし本番になるとお客さんが入ってお客さんの肉体や服などがスピーカーから出る音を吸収したり音の跳ね返りを抑えることでステージ中に回り込まなくなったんですね。
すると本番になった途端音が小さく聞こえて寂しくなったり、モニターの音が聞こえすぎてちょっとのミスでもバレちゃうような不安に駆られたりなんてことになったりします。
モニターの音がハッキリ聞こえるようになるのは演奏しやすくなるということであり良いことでもあります。
じゃあ、バンド活動においてどんな対策やどんな意識をしたらいいかというと…
例えば、前回出演したときに上のような本番に中音が寂しくなる経験があったら、次に同じ会場でライブをする時にはリハーサルの際に音が概ね決まったらPAで外の音を少し下げてもらうように注文してみるのも1つの方法です。
「前回出た時に本番は外音吸われて中が寂しくなっちゃったので、それを踏まえて確認したいので外の音を少し下げてチェックさせてください!」って言えば完璧。
(こいつらそこまでリハで確認するなんてやるな…負けてらんねぇ…)
となるのがPAの性です。
同じ会場でやればやるほどその場所での経験値を積めるわけです。
もっとサウンドを良くする為に次はこうしようと考えることがバンドの成長です。PAはもちろんそれを尊重します(私は)。
ライブ楽しかったー!ビール!!
というバンドと、
今日は少し低音が回ってたから次回は少し抑えて、アンプはステージの内向きにした方が良さそうだな…!よし、ビール!!
どちらも楽しいバンド活動。しかし、未来へ向けた研究ができるバンドとでは1年後は違うステージにいることでしょう。
意識するだけでバンドのレベルアップ
今回の内容は中級編でした。
バンドのライブも初級から中級、そして上級になるにつれ「これをやれ!」という、画一的な方法ではなくなってきます。
会場の音の鳴りも全て違う。バンドの目指すサウンドも全て違う。その中でどう工夫したりカッコよく鳴らせるか、クリエイティブな芸術的な音楽としての要素が重要になってきます。
答えはなかなか見つからないかもしれません。
しかし、このライブorデッド、回り込みなど、意識していなかったものを、意識して音と向き合うだけで全然聞こえ方や考え方が変わってくるはずです。
そんな考え方を知るきっかけになれればと筆を執ってキーボードを連打している次第であります。
ぜひライブすることに余裕が出てきたら今回のこれを思い出してみてください!
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