迫力のあるライブサウンドの作り方

ライブサウンド

今日のライブ、音の迫力がすごかったわ

爆音はテンション上がるぜ!あれ?けど耳は疲れてないな。

迫力のあるライブサウンドはアーティストとPAの相乗効果で作り出せるものです。そのコツを伝えます!

迫力ってPAがEQとかコンプレッサーとか使って機械色々いじって作ってるんでしょ?PAのさじ加減じゃない?って思っている方も多いのではないでしょうか。
確かに半分そうですね。それとこれまでと同じように、キャパが大きくなればサウンド作りはPAの比重が大きくなる傾向にはあります。
しかし、しっかりと音の棲み分けができているバンドであればPAは音をそのまま上げただけで迫力のある音がスピーカーから鳴るのです。
逆に各パートが他のパートを気にせず音作りをしているようなバンドだと必死にPAで処理しても加工された音に感じてしまうものなのです。

そのあたりを掘り下げて説明していきます。

 

スポンサーリンク

迫力のある音はバンドとPAと一緒に作る

では、まず棲み分けができていない、他のパートを気にしないで音作りをした場合にどんなことが起こるか見ていきましょう。

図を作ってみたのですが、このイメージ図は私がミックスしている時に耳から入ってきた情報を頭でイメージしたときの図なので、音響学的な根拠など何もない図ですのであしからず。
音楽で感動したり胸が熱くなるのって説明できない部分あるじゃないですか。目で見たり物や形があるものじゃないのでそこまで深く考えないで見てみてください。

各楽器で帯域の棲み分けができていない音のイメージ図

SUPERCARのFuturamaのジャケみたいになった。

各パートが好きなように音を出した時は、図のようにそれぞれの音が重なってしまってますね。
この状態はどんな音なのかというと、

  • シンバルもギターも高音が出ていて耳が痛い。
  • ギターとボーカルの帯域がぶつかって歌詞が聞き取りにくい。
  • スネアドラムもギターやベースの高い音とぶつかって音の抜けが悪い。
  • ベースの低音もバスドラムと重なってしまい、リズムの大黒柱であるバスドラムが埋もれて体を揺らせない。

などの現象が起こってしまう状態になっているわけですね。
これは一大事です。やはり思いやり大事ですよね。

各楽器で帯域の棲み分けができているバンドの音のイメージ図

傘をかぶり充血した一ツ目一本足の妖怪がバランスのとれた音のイメージ図です。

こちらは色の濁りが最小限に抑えられ鮮やかに各色が目立っているではありませんか。
この状態はどんな音なのかというと、

  • 耳障りな部分は角をとり、キラキラした艷やかな高音域はシンバルが担っている。
  • ギターはボーカルに被る帯域は控えめにし、ボーカルは前に出て歌詞まで聞き取れる。
  • スネアドラムやギターはその楽器の主役である帯域で勝負していてどちらも目立つ音に。
  • ベースはバスドラムとぶつからないように棲み分けをして、バスドラムのリズムは耳にすんなり入ってきて体は自然に揺れちゃう!

といったように、各パートはしっかりと個を主張しつつも他を邪魔することなく尊重して強い音になっていますね。
まるで銀河系軍団レアルマドリードです。

完全に仕事中の私の頭の中のイメージ図ですがなんとなく伝わったでしょうか。
上手く音が整理されているとこんないいことがあるよっていうのが理解していただけたなら、どうやったらその音を作れるのかに移っていきましょう。

 

スポンサーリンク

帯域の埋め方のコツ

それではこれからその帯域をどうやったら上手く埋められるのか、コツを見ていきますので再度レアルマドリードの図を見てください。

最初に見たダメダメな図をレアルの図にするのがPAの仕事じゃねーのかよ、という声も聞こえてきそうですね。
初めてライブをする高校生のバンドなんかをPAする時には、まさしく頑張ってレアルにしようと色々と処理をするのですが、やはりそれはクリロナではないんですよね。
例えば、ギターで耳障りな高音が出ていたので5kHzをPAでカットしたとします。しかし、フレーズや他の音色の時にその5kHzはとても大事だったりするのです。
はじめから不必要な部分はエフェクターのtone設定やアンプのEQ設定で音がしっかり作れていれば、PAでの処理も最低限で済み、大事な部分も失われないのです。

では図を見ながら、バンドはどういったところを意識して音作りをしているか、PAではどんな処理をしているかを見ていきます。

  • シンバルの黄色の上部が丸くなっているところ
    →シンバルは艷やかできらびやかにはしたいが、耳をつんざく不必要な部分はPAで角がたたないよう処理をする
  • ギターは音作りの際、ボーカリストの声質や曲に合わせてEQ、TONE設定をして、合わせて音を出した時にぶつかっていないか確認をする
  • スネアドラムは演奏する曲やバンドのイメージと合うスネアドラムを使っている
    バラードを歌うシンガーの後ろでカンカン鳴るスネアや、疾走感のあるBPMの早いメロディックサウンドで鈍いドスドスしたスネアを使っていたら図のように綺麗にスネアがおさまらない
  • ベースは、ベーシストがコンプレッサーのエフェクターを使ったり、PAがコンプレッサーの処理をして過剰な出力の際に他を邪魔しないようにしている
    同じ低音楽器のバスドラムが埋もれないよう、低音が音かぶりしないようなEQ設定をアンプで作っている
  • バスドラムのリズムの点をしっかりお客さんに伝える為にアタックをPAが強調して作り、ベースの低音がある中でもバスドラムが抜けるようにしている
    バスドラムが踏まれて音が出る瞬間だけ違和感なくベースの低音を抑え、どちらも目立つようPAで処理することもある

他にも色々な方法がありますが、ここから先はバンドのカラーだったり、ボーカリストの声質だったり、その時にどうやって最適な処理をするのかはバンドの人それぞれの考え方や、PAのテクニックの見せ所だったりするので一概にこれをすれば大丈夫というものではありません。

しかし考え方としての一つの手がかりにはなったのではないでしょうか。

 

スポンサーリンク

まとめ

演奏テクニックを向上させていくことや、リズムやグルーヴをバンドで合わせていくことは一朝一夕では難しいことだと思います。
しかしバンドの各パートの帯域ごとに音の棲み分けできれば演奏の迫力も増しますし、それぞれ他のパートを邪魔することなく、しっかりと目立たせることも可能になります。

広沢、落合、ハウエル、マック、松井、原、清原、石井、マルチネスと4番打者を並べてもチームワークなくして優勝はできないとあの時の巨人は教えてくれました。

音により関心を持って他のパートを意識した音作りを是非試してみてください。

コメント