マイクなんてライブハウスにあるからいらないだろ
確かにライブハウスに常設でありますが、自分で持っていたらこんなにいいことがあるというのを、この人にも納得してもらえるように説明します。
ギタリストやベーシストはギターやベースの竿とエフェクターボードに、アンプやキャビまで持っていたりしますし、ドラマーもスネアやペダルやシンバル、ドラムセットまで持っていたりするのにボーカリストは自分のマイクを持っていないことがあるんですよね。
自分のマイクに愛着を持って所持するのは音楽家としてもとても良いことだと思いますので、実演販売を見てすぐ包丁買っちゃう主婦の如く、これをみたらすぐにボーカリストは楽器屋にマイクを買いに行っちゃうことを目標に解説していきたいと思います。
なぜMYマイクを持っているのが良いのか
ではなぜ自分のマイクを持っていたほうがいいのかというメリットを超単純明快な理由から挙げていきます。
まず第一がこれ
マイクの臭い問題からの開放
ライブハウス常設のマイクももちろん洗浄して消毒したり綺麗にはしています。
しかし、その日一日だけでもリハから本番までマイクを使ってたらそれだけでもツバが飛んだりしてるのは想像できるでしょう。
なんかそれだけで嫌じゃないですか?
今までそんなに気にしたことがない人もいるかもしれませんが、気にしだしたらなんか嫌でしょ。
衛生面を考えたら当たり前
一つ前にリハーサルをしていたバンド、さっき楽屋でこんなこと言ってましたよ
「ちょっと体調悪いんだけど今日のライブはバッチリ決めなきゃいけないから風邪だなんて言ってられねーぜ」
ですって。
次にその同じマイク使うのあなたですけど、いいんですか?
MYマイクならすぐにこの問題は解消されます。
え?何?他の対バンのボーカルの女の子と同じマイク使えるからメリットもあるだって?
喝!喝!喝だこれ!
その対バンの女の子、君のその薄汚い考えがバレて嫌悪してるし次は自分のマイク持ってくるってよ。
マイクをコントロールする感覚を身につけられる
音楽的に音響的に一番のメリットはここです。
真面目に読んでいる方はここに注目していただきたい。
どんな物でもずっと使用しているとたいていは経年劣化していきます。
もれなくマイクもそうです。
ライブハウスにあるものは毎日毎日稼働していますし、バンドやお客さんの汗の湿度にまみれたり、照明などでステージ上が暑い中振り回されたり、時には落とされたり投げられたりとても悲しい扱いをされています。
マイクは劣化してくると高い音や低い音の収音性能が落ちてきたり、指向性(マイクの感度の向き)が本来の設計からずれてしまったりアーティスト側からしたら良い結果はありません。
自分のマイクであればもちろん新品で買うでしょうから本来のポテンシャルの状態から使うわけですし、ライブハウスのように毎日のように何時間と使われることもないので劣化も少ないでしょう。
ライブハウスですとその場、その場の会場によってどんな状態のマイクかわからないので、いつもと同じように歌っても今日は声が抜けなかったとか、なぜかハウりやすかったなどの現象にぶつかることもあるかもしれません。
しかしMYマイクでしたらいつもの感覚で声を入れればマイクに入力された信号に限ればいつも同じ状態でPAに届けられます。(厳密にはミキサー卓やスピーカーやチューニングが違えばモニターに返る音はシステムによって聞こえ方は変わります)
そして、その自分のマイクと練習からライブまでずっと過ごしていくとそのマイクの性格がわかってきます。
マイクと口をこれくらいの距離にすると一番気持ちよく歌える、とか
マイクから少しずれるだけで急に音が入らなくなる、とか
歌詞を伸ばして歌う時はゆっくりマイクをどの角度で離していくと自然にフェードアウトできる、とか
などなど、色々なことがわかってくると思います。
これらの特徴はマイクのメーカーや種類によって違いますし、細かいことを言うと個体差によっても多少違うでしょう。
マイクを自分の相棒だと思ってちゃんと向き合えば色々な発見がありますし、ものすごく大きな武器として活躍してくれるはずです。
どうですか?ペットみたいで可愛くないですか?
マイクに名前でもつけてあげたりデコレーションなんかしてあげたらどんどん愛着も湧いてきてみんなハッピーですよ。
MYマイクの選び方
自分のマイマイクを持つことのメリットがわかり、早くマイマイクを買いに行きたいともう靴を履いて家を飛び出しそうなそこのボーカリストさん、ちょっとお待ち下さい。
ボーカル用マイクといっても各社様々な商品があります。勢いのまま家を飛び出しても何を買ったらいいかわからず、ショーケースの中のサックスを見ている外国の子供みたいになります。
どうやってMYマイクを選んだらいいかを説明していきますのでもう少しお付き合いください。
買う際に偽物・コピー品を買っちゃわないようにこんな記事もごらんください。
自分の声質と合うもの
自分の声の特徴を損なわず力強く、または繊細に表現できるそんなマイクに出会うのが理想です。
しかし、たくさんあるマイクの中、一発でそれを見つけるのはなかなか難しいんです。
まずは焦らず、マイクによって音が変わるっていう感覚を掴むのがいいと思います。
普通の楽器屋さんですとマイクはレジのところに置いてあるだけだったりするので、DTMコーナーがしっかりある楽器店へ行くのがいいでしょう。
そういったお店ではマイクでしゃべった音をヘッドホンで確認できるブースが設けられていたりします。
そこで色々なマイクの違いを感じて、自分の声とマッチするのはどういったものかリストアップしていけば少しずつ好みがわかってくると思います。
その確認方法だけで決めてしまうのはレコーディングでは良くても、ライブではそのマイクの欠点が出ることもあるので次の方法も使いましょう。
身近に相談できるPAに聞く
マイクごとに音の特性の違いや指向性の違いなどがなんとなくでもわかり、自分の好みがわかったら、早く買ってライブで使いたい~♪という気持ちをいったん抑えてマイクの型番をメモして一度家に帰りましょう。
そしてライブで出演する機会があればライブが終わったあとにそこのライブハウスのPAさんにボーカルマイクを持ちたいと思っていて、どんなマイクがマッチしそうか聞いてみよう。
まずは、よく出演する場所に合わせるのがいいかと思います。
ライブハウスにはあまり出なくなり、大規模ライブハウスやアリーナでしかライブをしないようになればその時にはその場所が得意なPAさんに聞けばいいでしょうし、その頃にはあなたの周りにはたくさんの人間が関わっていて自分では音楽の本質以外のことは周りの人がやってくれると思います。
ポイントは自分のライブは自分では見られないということです。
リハーサルで客席へ出てマイクを通した歌声を確認するのも参考になると思いますが、本番のテンションでお客さんに音が吸われた状態やその温度や湿度感での本当の本番中の音というのはそれを毎日そこでやってきているPAが一番詳しいはずです。
信頼のおけるPAさんがいれば信用して買うのもいいと思いますし、気軽に話せる人がいなければアンケートのようにライブハウスに出演する度にそこの現地のPAさんに聞いて絞っていくのがいいと思います。
マイク選びでの注意点
よっしゃ、ほな色んな人に聞いて決まったから買うでーと息を荒げているところ申し訳ないですが、最後に注意点を説明しますので最後に読んで下さい。
MYマイクを持つことのメリットをつらつらと書き、買うしかないと思わせながら最後にデメリットと言わずとも理解しておいて欲しい注意点があります。
そのあたりまで知っておくと何も考えないで好きなマイクを選んだ人とは違い、こいつやるな、と思われることうけあいでございます。
チューニングはSM58で行われている
ライブハウスに常備してあるマイクはたいていはSHUREのSM58ですね。
次にあるのがSHUREのBETA58ですね。
あるところにはSENNHEISERのe935やSHUREのBETA57やBETA87があるかもといったところです。
基本的にPAはボーカルマイクのデフォルトとしてSM58を用いてチューニングという作業をします。
SM58を使用してライブをしてもモニターはハウらない、メインスピーカーはちょうどよく聞こえるような調整をするわけです。
そこでMYマイクを持ってきた時に何が起こるかということですが、もちろんSM58とは特性が違うわけです。
高音を強調したいマイクならSM58よりも高音が伸びやかになっているため高音でハウリングが起きやすくなる可能性も出てきます。
そのため、PAは持ち込みマイクに合わせたチューニングを別途しなければならないことがあります。
「自分のマイクありまーす」とPAの人に渡したらそのマイクで喋ってチェックしている作業を見たことをある人もいるかもしれません。
こういった一手間が必要になることもあるのがMYマイクだとわかっていただければいいと思います。
別にPAが勝手にやるでけでしょ?関係ないじゃん!
って思ってる方もいるかもしれませんが、そのチェックの時間はリハーサルの時間から捻出されます。
つまりあなたのリハーサルの持ち時間が減っているということです。
PAの慣れや腕の問題も多少はあるかもしれませんが、例えば、見た目がかっこいいからと謎の超特殊なマイクを持ってきても、チューニングに時間がかかったり本番でハウったりお互いにメリットがありません。
初めてのMYマイクは有名なメーカーの王道のものを選択すれば失敗はないはずです。
ワイヤレスマイクという選択
この項目を詳しく書こうとするとそれだけで永遠にかけるくらいのボリュームがあるのでさらっと説明します。
良い音質でライブをしたいと考えているのであれば、単刀直入に言ってワイヤレスマイクを候補にするのはやめましょう。
音より何よりまずはパフォーマンスありきだ、盛り上げるのが命!とか明確な理由があるのなら選択肢としてありだと思います。
アイドルとかロックでも有名な人は当たり前に使ってるし、ドームコンサートとかでも使ってるから良いものなんでしょ?ケーブルも無いし最高じゃんって思うかもしれません。
最近のものは音質もよくなってきていて手軽に手に入るようになってきました。
しかし、確実に言えることは有線マイクの方が音がいいということです。
有名アーティストが使用しているのは有線マイクと遜色のないレベルのものになってきていますが、それは数十万~数百万のシステムのものだからです。
初めてのマイクを買おうとする予算でワイヤレスマイクを選択すると、それは他に候補に挙げる有線マイクと比べると相当に音が悪いことが誰が聞いても聞き分けできるレベルです。
それに加え無線を扱うという知識も必要になります。
デメリットなどは今後詳しくまとめて解説したいと思います。
ですのでどうしてもという理由が無い限りは候補としてはまずは除外してください。
ワイヤレスマイクはどんなものなのかをしっかり知って使うことが大事なので別に解説しましたのでこちらをご覧ください
劣化したら買い換える
上でも説明しましたが、マイクは経年劣化します。
自分のマイクに愛着を持つのは素晴らしいことです。しかし、だからといって劣化したマイクを使い続けるのは良くありません。
すごく使い古したマイクを使いたいと言われ困ることもあります。
劣化したけどお金が勿体無いからといって使い続けては本末転倒です。
そんなに頻繁に買い換えるものでもないので、もう駄目になってきたなと感じたら新しく買い替えるのも持ち主の務めです。
まとめ
MYマイクを持つことに関して理解していただけでしょうか。
私は、よくあるような
「SM58はロックボーカリストにおすすめ!」
「女性ボーカルはBETA87を使おう!」
「高音を強調したいあなたにはコンデンサーの○○がいいでしょう!」
などと無責任に決めつけて商品をすすめることはしません。
声を知らないのにわかるわけありません。あなたにはあなたに合ったマイクがあるはずです。
必要性を感じて、自分の求めている要素を理解できれば一番良いマイクと出会えると思っています。
自分で考えずに勧められただけで決めてしまうのは、マイク選びに限らず音楽をやるときにも人生を過ごしていくにも危険だと思います。
自分がしっくりくるマイクを自分の耳で探しながら、よく出演するライブハウスのPAさん、それも複数の人に自分のよく合うマイクをインタビューして傾向を絞っていき、コレだ!と思えるマイクを是非見つけて下さい。
相棒のマイクが見つかり、その相棒の特徴もわかれば歌唱技術も向上して素晴らしいライブにも繋がります!
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