配信ライブで迫力あるサウンドにするコツ!魅せるコツ!

ライブサウンド

配信ライブだって全力でライブやるだけだろ!迫力ある音にするのはお前のシゴトだ!

大規模なライブができない現状で今、音楽シーンを支えているのは配信です。目の前で大音量が鳴る普段のライブとは違うとはいえ、なんとかしてその迫力を配信ライブでも伝えたいですよね。オンライン上でもかっこいいライブができるコツを教えます!

今回はライブ配信についてです。

今は人が多く集まることができず、それでも音楽の灯火を消してはいけない、生の臨場感を伝えたいということで昨今多くのライブ配信が行われています。
ライブ配信も様々な形態があり、生放送でやるものから、ライブ収録だったり、レコーディングに近い環境で録音され届けられるものまで様々です。
マルチトラックによる収録などではMIXなど編集できるため問題はないので、今回は一発録りそのまま配信という環境下での心構えをお伝えします。

私もコロナウイルスの影響で通常のライブのPAができない代わりに多くの配信ライブの音響をやりました。配信ライブでは、良いサウンドを届けるポイントやかっこよく観せれるポイントが通常のライブとはまた違ったところにあるなと感じたのでそれを解説していきます。

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配信ライブは通常のライブと違うことが多い

冒頭でモヒカンくんが「いつもどおりやるだけだぜ!」と言っていましたが、それで成立するアーティストは少ないと感じます。
それは配信ライブでは通常のライブと違うところがたくさんあるからです。

まず、このご時世ですと無観客という点です。
普通ならお客さんの前のステージに立って目の前のお客さんに向けてライブをすればいいのですが無観客では誰もいないのです。いるのはスタッフのみ。
いつもどおりやるつもりでも、お客さんがいなければいつものテンションでは演奏はできないことがほとんどです。
シンガロングだってできませんし、煽っても何も返ってきません。
配信によってはリアルタイムにコメントなどもできますが、必ず遅延が発生しますので視聴者のリアクションをライブ中にリアルタイムで反映させたライブはできないのです。
できないが故に、じゃあそれをどう逆手にとってやるかがライブ配信でも満足度を上げられるポイントになってきます。

大きい会場での配信ライブではステージのみで完結できることもありますが、ライブハウスだとステージと客席フロアどちらも使い広く撮影することが多いです。
カメラが大きく動いたり、同じ画になり飽きないようメンバーとの距離を広くとって見栄えがするような通常と違う立ち位置にすることがあるのです。
そうなればいつもの楽器が聞こえていた状況とは違い、モニター環境も変わってきますし演奏の難易度も上がることもあるかもしれません。
メンバーと目で合図していた場面で間にカメラマンがいることだってあるかもしれません。
予め想像をしないといつもどおりでは失敗することもあるかもしれないのです。

そして、配信でどんなバランスで音が鳴っているかはわからないのです。
普通のライブなら誰かメンバーがリハ中に外音を聞きに行けば本番の状況と違うとはいえ確認することはできます。
しかし、配信だとそれが全くわかりません。
事前にイメージを伝える必要があるかもしれません。

先程、客席フロアも使って撮影することがあると説明しましたが、そうなると音響的には片手落ちになるんですね。
なぜかと言うと、メインスピーカーよりも演者が前にいることになるからなんです。
こうなるともういつもどおり爆音ってことがほぼ不可能になります。
そんな状況でモヒカンくんのように「いつもどおり爆音でスピーカーから出してくれ!」なんて言われたらもう配信の音は成立しなくなってきます。

まだまだ違う要素はたくさんありますが、いつもと違うということを理解するほど配信ライブは成功につながるのです。

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カメラの向こう側を意識する

これは音響に関することではないのですが、やはり配信において映像は重要です。
【目の前にいる+音】が【映像+音】になるのです。目を動かせばすべてが見られた普通のライブではなくカメラマンの撮るものしか配信では見られないのです。
ですのでカメラを通して見られていることを意識することができるかできないかで良いライブになるか否かがかかってきます。

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こちらの記事で書いたライブパフォーマンスの考え方とも似ているかもしれません。

ジャズのセッションや即興など真剣なプレイだけで魅せられるようなジャンルであれば黙々と演奏しているだけでも画になると思いますし、お客さんもそれを求めているので問題ありません。
しかし、エンターテインメントの要素がある音楽であれば黙々と演奏しているだけならスタジオ練習を覗き見しているような配信になってしまいますし、空の客席に向けていつもどおりライブをする様子も見ていてすごく違和感の残るものになってしまいます。
いつもどおりのライブをするのはライブDVDのようになるんじゃないかと思いがちかもしれませんが、現場にお客さんがいるのといないのとでは全く別物になります。

では実際にどうしたらいいかと言うと、タイトルの通りカメラの向こう側で見てくれている人がいるということを意識すればいいだけです。
どうやってそのカメラに向けたアプローチをするかは、そのバンドの色次第でしょう。
しかし、カメラの向こう側で見ているという意識があるかないかでは大違いの結果になります。
お客さんと一緒に盛り上がるのが魅力のバンドならカメラに向かって煽ってもいいと思います。
クールなシンガーソングライターならあえてカメラを見ないのも良いかもしれません。でもカメラからみんなが見ていることを意識した上でカメラを見ないのです。

PVのように作品っぽくライブをすることもできますし、煽ったりしてライブ感を強く出すこともできます。
配信だからこそできる映像の演出だってたくさんあります。
プロジェクターを照明のように使用したり、クロマキー背景で昔のメタルバンドのPVのように断崖絶壁や噴火口をバックに演奏したって面白いですよね。

アイディアで配信ライブは満足度を上げることができるのですが、それはすべてカメラの先にお客さんがいるというのを意識するかどうか次第なんです。

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モニターを犠牲にするほど配信の音は良くなる

配信ライブは通常のライブというよりレコーディングに近い考え方のほうがサウンド面では良い結果が得られると思います。

これまでの記事でも何度も言っていますが、マイクは目的の楽器の音を録るために立てられていますが、そこにはカブりと言って他の楽器の音も少なからず入ってきています。

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これもみんなカブりを減らすためでもあるんです。
このカブりが少なければ少ないほど狙った楽器のみの音が集音できます

だからレコーディングでは各楽器を別々に録音したり、同時に演奏するにしてもブースを分けたりして他の音のカブりを減らすのです。
ライブではそれはできないので、テレビの音楽番組の収録などではドラムの前に透明な板を立てて音のカブりを減らしているのを見たことがある人もいるのではないでしょうか。

他のメンバーの演奏を確認するためのモニターも同様です。
モニターを返せば返すほどカブりは増え飽和し、音はどんどん濁っていきます。
レコーディングではマイクにモニターの音が入らないようにヘッドホンを使用します。
しかし、ライブ配信でヘッドホンをするのはライブ感が薄れます。クオリティ重視のスタジオライブ配信ならいいと思いますが、ライブ感の再現には向きません。

イヤモニなんかは上記の理由からライブで使われたりもしていますが、使うなら使うで注意点はたくさんありますのでこちらも御覧ください。

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特にライブ配信で客席フロアまで使って撮影をしているのならメインスピーカーから爆音を出すとその音をすべてマイクが拾い、濁るだけならともかく、ハウリングを起こして配信どころではならなくなります。

ですので、バンドのサウンドメイクもその点を考えて作ると配信上の音の向上に繋げられます。

バンドのキャラクターとしてアンサンブルや細かいディティールを伝えたいのであれば、最低限のモニターのみカブりを極力減らす音量でバンドのバランスをとることが大事です。
爆音至上主義ならある程度は音量がないと迫力がないですが、ハウってしまっては元も子もありません。いつもと違うものと思ってあるボーダーで割り切る必要もあるでしょう。

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配信でないとやらないことをやる

音響面やカメラなど、普通のライブとは違う難しさがありますが、普通のライブではできないことができるのも配信です。
ですので、配信でないとやらないようなことをするのも配信ライブの視聴者の満足度を上げるポイントになると思います。

通常のライブであれば大きな音を体で浴びて、好きなアーティストが目の前で演奏しているのを見れたらそれで満足かもしれませんが、残念ながら配信ではそういった要素での満足感は得られません。
その代わりに配信では事前に募集した質問に答えるコーナーを作ったり、トークをする時間を設けたり、いつものライブでは見られない一面を見られることで配信を差別化するのも一つの方法です。

趣味や特技を披露するのでもいいかもしれません。趣味だけならツイキャスやインスタライブなんかで十分かもしれませんが、配信でライブ+α的としてしっかり準備した出し物があると楽しめるはずです。

クロマキーを使うでもライブハウスの外へ飛び出すでも、アイディアは無限にあるはずです。
せっかくの爆音が届けられなくても、今しかできない面白いことを考える方が有意義かと思います。

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視聴者の感想は視聴している環境に左右される

ライブでは現場がすべてでしたが、配信の場合は音や映像に関しては視聴者側の環境に左右されます
感想も人により変わることも考えられるのであまり一喜一憂するものでもないと考えていた方が精神衛生上良いかと思います。

というのも、配信の音に関しても家で大きなスピーカーで再生している人とイヤホンやヘッドホンで聞いている人、スマホのスピーカーで聞いている人、その中でも最新のスマホか古~い機種で聞いているかでさえも全然違うサウンドになるからです。
低音の再生なんて顕著ですし、経験上スマホのスピーカーなどだとLRの再生バランスの悪さからMIXのバランスまで違って聞こえることもあります。

映像に関してもスマホなのかPCなのかテレビなのか、有機ELなのか液晶なのか、Retinaだとかで発色やら解像度やら全く違います。

自分のネット環境が原因でもPCに詳しくなければ配信者側のエラーだと思う人もいたりします。

そしてアーティストはもちろんですが、配信というものを生業としているプロだけでやっている配信ライブというのは少ないと思います。多くの人はこのコロナ禍で試行錯誤しながら配信ライブをやっています。
配信ライブは発展途上のものですし、相手の環境次第でクオリティは変わるものでもありますのであまり評価などは気にしすぎない方がいいでしょう。

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最終的には音響の腕が試される

通常のライブではステージ上で鳴っている音の迫力やバランスが良ければ客席は良い音になるということが多いのですが、配信となると中音関係なしのミキサーでMIXされたバランスで音はアウトプットされるので音響の人次第になることも多くなります。

そして爆音で行われる通常のライブよりも細かい部分まで聞き取れる配信ライブではマイクの質による依存度も大きくなります
ハウリングや耐入力や耐久性など色々な都合によりライブ現場では多くのコンデンサーマイクなど使われないこともありますが、配信ライブでは音量をひねり出さなくてもいいことが多いのでコンデンサーマイクを多様することで細かな音まで再現することができます。
しかし、通常のライブハウスでライブ配信をする場合は、そういった値段の高いコンデンサーマイクなどは常備していないでしょう。クタクタのマイクを使っていたら配信ではそのクタクタ具合がより明確に確認できてしまうこともあります。
それぞれ、そのライブハウスにあるマイクや、音響さんの私物など、使えるマイクによりサウンド面のクオリティが左右される場合もあるでしょう。

これを機にマイマイクを持つのも感染症対策としての側面も込みでいいのではないでしょうか。
声質などにもよるのですが、beta87なんかは扱いなれている音響さんも多いコンデンサーマイクですので配信ではいつものライブ以上にSM58とは違うクオリティを感じられると思います。

マイクの選び方なんかはこちらを参考にしてみてください。

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マイクによる音の違いもそうですが、マイキングやミックスによる差も明確に出ます。
ライブの爆音感を伝えるにはどんなマイキングがいいのか、リバーブ感をどう使うのか、エフェクティブな音作りをして配信ならではのサウンドメイクをするのか、箱鳴りをどう活かすか。
目の前のお客さんにステージ鳴っている音をピュアに届ける通常のライブよりも、配信では選択肢を広げることもできますし、ピュアに届けるにしても工夫が必要だったりします。

機材面も含めて最終的に配信に乗せられるサウンドは音響マンの腕にかかってきます。

といっても、ライブPAは得意でも配信は苦手だったり逆もあったり、人によって得手不得手はあるはずですのでお手柔らかに視聴いただけたら嬉しいですね!笑
今この状況で音楽業界みんな手探りで初めてのことに挑戦していますので「評価」より単純に「楽しむ」ということにフォーカスしてほしいです。

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“現場”が戻るその時まで

現状なかなかこれまでのようなライブはまだできません。
怪我の功名といいますか、ライブができない故にライブ配信という新しいコンテンツが生まれ面白い取り組みも増えてきています。
いつものライブが戻るまでは配信の力も借りつつ音楽を楽しんでいきましょう。

これはこれで楽しいフォーマットが増えたのですが、やはりライブに置き換わるものではないと思っています。
密なところで汗が飛び散って大声張り上げてもみくちゃになって…ライブはそれが楽しいんですよ、それがみんな好きなんですよね。あれ?そう考えると我々が好きなものとコロナウイルスが好きなものって同じですね。マイメンじゃないですか。

いつになるか、どんな方法になるかわかりませんが、マイメンと共存してまたいつものライブができることを楽しみに待ちましょう。

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