バンドのボーカルは大きい声で歌うべし!

ボーカル

大きい声で歌え?ライブだからあたりめーだろ!俺はいつも本気で歌ってるけど文句あっか!?そんなの個人差あるだろ!

モヒカンくんはPUNKが溢れ出てるので大丈夫そうですね。
ですが、楽器隊の爆音に対して声の小さいボーカルはたくさんいて、なかなか音響的に困る場面が多いので少しでも声を大きく出せるなら頑張ってもらえたらサウンド面で差がつけられるよって話をしたいと思います。

たしかにモヒカンくんの言うとおり、声量というのは個人差があります。しかし、楽器の練習と同じようにボーカルも練習とテクニックで上達することも可能です。
音程、ピッチと共に腹式呼吸で口先でなくお腹からしっかり声を出し歌えることはバンドサウンドにとってメリットは大きいので解説していきます。
今回の内容は【ライブでの音のバランスの決め方】の記事とも共通する考え方の部分も多いのでこちらもぜひご覧下さいませー

ライブでの各楽器やボーカルの音量バランスの考え方!お互いを尊重しないとバランスは崩壊します!
今日のライブ、ボーカルが聞こえにくかった 弦楽器がやたらデカかったな… こういったよく聞くライブでの不満の原因を解説していき...

 

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大きい声で歌った方がいい理由

まず、大きい声だとこんなに得をするよーってことからお伝えします。お得情報から知った方がやる気も出ると思うので。

  • 迫力のあるサウンドにできる
  • 歌詞がしっかり聞こえる
  • リバーブなどのエフェクトがしっかり乗る
  • モニターが聞きやすい

などなどメリットたくさんです。
ライブでの迫力のある音圧のあるサウンドを作り出すには、余暇でカラオケを楽しむくらいのテンションでは足りないんですよね。

では声量がないと具体的に音響的にどんなことが起こりライブサウンドはどうなるのかを見ていきましょう。

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ボーカルマイクにはどんな音が入ってくる?

声量が大きい場合、小さい場合でボーカルマイクにはどんな音が入ってくるのかを図にしましたのでみて下さい。あくまでイメージ図ですのであしからず。

声量が大きいボーカル

しっかりライブ基準で歌を入れていればボーカルマイクにはしっかり声がメインで入力されます。
ボーカル以外の音も入っていますがマイクはあくまでボーカルが主役です。
対して小さいとどうでしょう。

声量が小さいボーカル

マイクに近い分、声の入力が大きくはなっていますが後ろの楽器の音量も大きいのでマイクにはどちらの音も入っちゃって主役の音が曖昧です。

では、このマイクに入った素の音ではライブに足りないので、PAでマイクに入った音を増幅してライブで十分聞こえる音量にしましょう。
それがこの図です。

声量が大きい

声量が小さい

矢印の部分がPAで増幅した分です。
図は多少大げさに作っていますがどうでしょう、こうなるとさらに声量の違いでの影響がわかりやすいと思います。
集音したいメインの音以外の音がマイクに入ってしまうことをカブりといいます。
声がデカければ他の楽器のカブりが最小限で済みますね。対して声が小さいとライブレベルの音量に上げたときにカブりの音もガッツリと一緒に上がってしまいます

「ボーカルの声だけうまい具合に上げるのがPAの仕事だろうが!」
おっと、モヒカンくんのツッコミが聞こえてきましたがPAは魔法使いじゃないんです。
PAでマイクの音量を上げるというのは、マイクの感度を上げるということなのでマイクに入る全ての音が上がります
ボーカルの喉にシールドをブッ挿して声だけを抜き取れる裏技があればいいんですが、今のところないのでマイクで集音することになります。
マイクは指向性の特徴はありますが基本的には前にある音を集音するので、ボーカル以外も入ってしまうのです。

大音量のクラブやライブハウスで隣の人とおしゃべりするには大きい声で話さないと会話できないですよね?踏切で電車が通ってる時に話す時は声を張りますよね?もしくは相手の耳に口を近づけて喋りますよね?
それと同じです。楽器が後ろで大音量で鳴ってるんですからそれ相応の音量で声を出さないといけないんです。もしくは、耳に口を近づけるのと同じでマイクにより口を近づけることです。

このボーカル以外の音をいかに小さく抑えるかが今回のテーマでもあります。

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声が小さいと音響的に何が起こるか

声が小さく、マイクの感度(ゲイン)を上げカブりが多いとライブでどのように影響が出るのかです。

外音はというと

ギターやベースやドラムがボーカルマイクに入ることになりますので、ギターの音を拾っているマイクでギターの音をスピーカーから出したいのにボーカルマイクからもギターの音が出ちゃう。
ギターの音が二重に収音されそれが客席向けのスピーカーから出るということになります。
ちょっと足されるだけだから良くね?って思うかもしれませんが、ギターに立っているマイクはアンプのすぐ前にあり、ボーカルマイクはその1m、2m先にあります。
音はだいたい1秒に340mくらいスピードで伝わります。早いですね。遅いとも言えますが。
ギターアンプのマイクで拾った音と2m先のボーカルマイクで拾っちゃった音の時間差はだいたい約6ミリ秒、0.006秒ですね。
その時間差で収音された音が同時にスピーカーから出てしまいます。

「そんな誤差みたいな数字どうでもいいだろ!PAは神経質だ!メンドクセー」
またモヒカンくんの声が聞こえました。

しかし人間の耳って凄くて、0.1ミリ秒のタイムラグまで正確に聞き分けているそうです。
そうなると6ミリ秒の時間差のある音が同時に出ることで外音に影響を及ぼしてしまっていることを理解できると思います。
具体的にどんな音になるのかというと、音が時間差を伴って2重に聞こえるわけですから、輪郭のハッキリしないボヤケた音になるわけです。

例に出したのはギターのマイクとの比較でしたが、これがベースマイクやたくさん立てているドラムマイクでも同様の事が起こります
全て時間差を伴ってボーカルマイクに入って、それが同時にスピーカーから鳴っていたら…
お客さん向けの外音がどうなっていくかは想像の通りです。

中音はというと

これも外音の原理と同じです。
じゃあ例えばボーカルのモニターにボーカルを返したとします。
ボーカルマイクを返しても、もちろんボーカルマイクにはその他の楽器の音まで入っているのでボーカルの音は聞きづらいです。

ボーカルの人「返しても声が聞きづらいです。」
PAの人(そりゃそうよ、だって声小さくて音が濁ってるんだもん…)

さらにボーカルに加えてドラムも返したりすると、これも外音と同じようにモニターに時間差で入った音が混じりあい、更に聞きづらい音になります。

ボーカルの人「声もドラムも聞きづらいです。」
PAの人(そりゃそうよ、だって声小さくて音がカブって時間差で混ざってぐちゃぐちゃやもん…)

返しても返してもゴチャゴチャした音だけ増えてますます聞こえないループに入ります。
さらにそのモニターから出てくる音もボーカルマイクに入ってさぁ大変!ハウりも誘発してどんどん沼にハマります!

少し大げさには書きましたが、声が小さいとこんなことが起こっちゃうというのはわかっていただけましたでしょうか。

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解決方法

簡単な解決方法としてはボーカルマイクに入るその他の楽器の音を小さくすることです。
そうすれば大きい声を入力したのと同様にカブりが減ります。
すなわち不要なカブりが減るということです。

もう一つは前で例に挙げたようにマイクに口を近づけることです。
マイクと近くなればマイクに入る入力は相対的に声の割合が大きくなり結果としてカブる比率が下がります。

しかし、この解決方法、特に前者は楽器の音量を下げるので楽器のプレーヤーのテンションが上がらないかもしれません。
ライブハウスクラスのキャパであればアンプから出る音も外音を担っているので楽器のレベルを下げれば外音の迫力ダウンに繋がることもありえます。

ですので、やはり大きい声を出す練習をするのが迫力を損なわず解決する一番良い方法だと私は思います。

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大きい声で歌わなくても大丈夫なパターン

俺は、私は大きい声なんて出さない!音程をしっかり取れる声量で歌いたいんだ!
って方、そんなボーカリストももちろんいると思います。
ボーカリストがメインでオケはバックバンド的なスタイルのバンドであれば、ボーカルを引き立たせる為に爆音でドラムを叩いたりアンプをギャンギャンに鳴らすこともないでしょうからしっかりとマイクに声を乗せて歌えば大丈夫です。

ラップだからオケはDJがトラックで出すぜっていうHIPHOPなんかも、メローなフロウでリリックを聞かすから大声で歌わねぇぜ!ってな時はトラックを下げれば声とのバランスも取れます。
バラードも同じでバラードは大きなサウンドにならないはずですので声が多少小さくても周りも小さいのでしっかりと歌を出すことができます。
アイドルなんかもオケ出しであれば同様です。

つまり、声量とオケの楽器隊のバランスが重要で、そこに大きな差が出てしまうと問題が生じてしまうのです。

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ライブで迫力を出したいなら腹から声を

途中の解説でPAの心の声にちょいとトゲがありましたがお許し下さいませ。
本当はこういうことをリハの時などに解説できたり、バンドに直接伝えられたら理想ですが、イチから説明するとなると時間がかかってしまうので記事にした次第であります。
無理ならそれはしょうがないですが、迫力や音圧を重視したバンドをやるなら腹から声を出してライブをしてもらいたいので。絶対そっちの方がバンドをやっていても楽しいはずです!
是非、次のライブはでっかい声で歌ってみて下さい!

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