マイクのヘッドをみんな握るけど損しかしないぞ!

ボーカル

あんま意識してないけどたぶん持ってるな。丸いとこ持つのが普通だろ。それで今までやってきてんだよ文句言うな!

知らないうちに持っちゃってたかも…だめなんですか…?

みんなやってるマイクヘッド握り。意識しなければそう持つのが普通になっているんじゃないかと思います。実はヘッドを握ると様々なデメリットがありますので解説します。

マイクの持ち方、あまり意識していなかったって人も多いと思います。
実はそのマイクの持ち方一つでライブサウンドに大きな影響を与えている可能性があります。
より良いライブを作るために確認してもらいたいポイントです。

 

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マイクの仕組みを知ればなぜダメかわかる

まずはマイクの仕組みを紐解いていきましょう。

マイクには指向性というものがあります。
指向性の説明を細かくしていくと時間がかかってしまうので簡単に言うと、マイクにはそのマイクごとに収音するのに感度のいい角度や距離があるのです。
そして指向性には何種類かあるのですが…
主にライブなんかで使われるのは単一指向性のものです。みんな知ってるボーカル用でよく見るSM58も単一指向性です。
単一指向性というのはマイクの前の音をよく拾うという特徴です。

バンドをしてる人、ボーカリストなど多くの人は単一指向性のマイクを使っているのがわかったと思いますが、次は単一指向性のマイクの仕組みです。

単一指向性のマイクがどのようにしてマイク前面だけの音を拾えているかという話です。
基本的にマイクの音を拾う部分は全方向の音を拾っているんですが、単一指向性のマイクは前面以外の音は、裏側から入る音を拾って打ち消し合うことによって前から入る音をメインに収音できています。
なかなか文字で説明するのは難しいのでもっと詳しく知りたい方はオーディオテクニカさんのサイトとかみると幸せになれます。

ま、バンドマンの方ならそこまで詳しく知らなくてもいいかと思いますが、知っていて欲しいのはマイクはヘッドのグリル(あみあみ)部分まで含めた全体で音を拾ってるっちゅうことです。

マイクの仕組みの話でしたが、なるほど握ったらマズいかもと少しわかってきたんじゃないでしょうか。

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マイクヘッドを握るとマイクでは何が起きるか

仕組みがわかったらもう簡単です。
マイクのヘッド部分をみんな握りますが、歌う為に口のところはさすがに手で覆わないですよね。手で覆うのはグリルボールの下半分くらいじゃないでしょうか。

まさしくその部分はマイクの単一指向性の特性を作っている、裏側から収音する大事な部分だったわけですよ。

さて、そこを握ってしまうと何が起こるかというと、単一指向性の前面を収音するための後方打ち消し効果がなくなってしまい前面以外からの音もバシバシ入ってくるマイクになっちゃうわけです。
前面で歌うあなたの声だけをしっかりとる為に単一指向性マイクとして生まれてきたのに、手でマイクヘッドを握られてしまい声以外の周りで鳴っているギターやベースやドラムの音もガッツリとマイクに入ってきちゃってます。悲しいマイクさん…

マイクのヘッドを握って持つと不要な音が入ることがわかりました。
指向性の特性が崩れることと、もう一つ重大な損失があります。

それは音が悪くなるということです。

マイクはヘッド部分を覆うことを前提に作られてはいません。(ヒューマンビートボックスなどで前提に作られてるのもありますが)
単純に考えてマイクを覆うのだから音がこもるのは想像できると思います。
主役であるボーカルの声が濁っていいのでしょうか?
クイズ番組で回答者が司会者に耳打ちするのに手で覆ったり、トイレットペーパーの芯みたいなやつで喋るじゃないですか。あれってゴソゴソモゾモゾしたこもった音になりそうだなーって想像できませんか?マイクを握ると同じようにクリアでない芯の太さがない音になってしまうのです。

指向性がなくなり周りの音を拾うこもった音になるこの2つがマイクを握ると起こるのですが、次に実際ライブではそれによってどんなことが巻き起こるのかをみていきます。

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マイクヘッドを握るとライブのステージ上で何が起きるか

マイクの指向性崩壊と低音質が巻き起こすドタバタライブを見ていきましょう。

  • その① モニターが聞こえない

マイクを握ることにより音がこもりモヤモヤしたボーカルになるためモニターにボーカルマイクの音を返しても返しても他の楽器に負けて聞こえない
さらに、単一指向性を失っているためボーカル以外の音もガンガンマイクから入ることにより、返してもボーカル以外の楽器もモニターから出るため聞きたい音を聞けない

  • その② ハウる

聞こえないからモニターをいっぱい返したのはいいが、マイクを握っているから前面以外の音も拾う→モニターの声も拾ってしまう→音がループする→ハウる

カラオケとかでやたらピーピーキーンってしてるのもこの原理ですね。あとスピーカーとマイクが近いか。

  • その③ 返しても聞こえない→たくさん返す→ハウる

詰みです。
もはやPAの腕とかのレベルでなく物理の特性上、投了です。

  • その④ 外音も崩壊

ハウるのはもちろん、1番聞かせたいボーカルのマイクを上げると他の楽器の音も上がる、それも低音質で。
楽器用のマイクも外音に出しているので、その音とボーカルにかぶる楽器の音がダブってその他楽器の音も濁る。
ボーカルマイクが聞こえづらい為に他のメンバーもモニターでボーカルを多めに返すと、他のメンバーのコーラスマイクにも低音質ボーカルと低音質その他楽器の音が入り込む。
どんどん外音は濁って輪郭のないハッキリしない音になってくる。

  • その⑤ PAなんとか頑張るが状況は回復せず

PAもハウらないように、音質を少しでもマシにしようとEQ処理をするが、本来のボーカルで大事なオイシイ部分を削ることになる。
ハウらないようになっても、それはそれはショボい音に成り下がっているのです。

たったマイクを握るだけで、ライブの時にはこんなにもデメリットがあるのをわかっていただけたでしょうか。

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このボーカルの握り方どうかな?○✕クイズ

持ったら損するよってことがわかったところでこの持ち方ならどうかなクイズします。

Q1.この女性シンガーはどうでしょう

A.100点 しっかりマイクのボディを握ってボーカリストとして美味しい音を届けられます。

 

Q2.このボーカリストはどうでしょう

A.100点 パワフルなパフォーマンスが想像できますが、マイクのヘッドは手で覆わず、これならダイナミックなバンドサウンドでもしっかりボーカルを聞かせることができます。

 

Q3.このボーカリストはどうでしょう

A.100点 伸びやかなサスティーンが聞こえてきそうですね。しっかりとボーカルが主役な音作りができるナイスな持ち方です。ヘッドを握らなくてもかっこいいじゃありませんか。

 

Q4.このボーカリストはどうでしょう

A.5点 マイクをガッツリと握られてしまいこれでは100%のマイクの力を発揮できません。しかし、HIPHOPなどではこれくらい握られるのがスタンダードになってしまっています。

 

Q5.このボーカリストはどうでしょう

A.100点 マイクを放り投げるパフォーマンスをして「マイクが危ない!」と思いきや実は「手にケーブル引っかかってるよーん」という高尚な演出。

 

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マイクを握るのも握らないのも自由

ここまで散々マイクヘッドを握ることのネガキャンをしましたが、結局は自由です。
メリットも…カッコイイ?ってこと?くらい?はある?かな?と思い?ます。
歌詞をしっかり聞かせたい、ボーカルを主役にしたいと思っているならまず間違いなくマイクは握らない方がいいです。
中には超レアケースですが、ボーカルを前に抜けさせないようにあえてこもらせて楽器に埋もれさせるって手法もジャンルによってはないとは言い切れないです。

今までは何気なく、何も知らないからマイクを握っちゃってたって人も多いと思います。
マイクヘッドを握ると何が起こるかを分かった上ならその先の選択は自由だと思います。
マイクの正しい使い方を理解してライブに挑んでみましょう。1歩先のサウンドでライブが出来ることを願っています。

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