マイクとの距離感だと?ライブは全力で声をぶつけるだけだぜ!距離感なんて関係ねー!
モヒカンくんのようにパンクであればそれで十分かっこいいでしょう。しかし、歌のダイナミクスやビブラートやピッチをシビアに聞かせたいというのであればマイクとの距離感を上手くコントロールできたら更に上のライブパフォーマンスが出来ると思います。
マイクと口との距離の話ですが、感覚的に近ければ大きくなる、離せば小さくなるというのはわかると思います。
これがライブにおいて実際どういうときに使い分けたら効果的かを解説していきたいと思います。
この距離感を習得すればライブのパフォーマンスは更に上を目指せるでしょう。
距離感で音はかわる
まず、上で説明しましたが、感化的に距離で音量がかわるだろうという想像はできると思います。
では実際にマイクの特性として口に近づけた時にどういう効果が出ているかを解説します。
マイクには近接効果というものがあります。
名前は覚えなくてもいいです。
覚えていて欲しいのはマイクに近づくと低音が強調されるというのだけ頭の片隅に入れておいて下さい。
もう少し細かく説明すると、この図を見てください。
こちらはbeta58aの周波数特性です。
マイクとの距離が近づくと低音域がもりっと持ち上がる点線がありますね。
距離が近づけば近づくほど上の点線になる、すなわち200Hzあたりがどんどん上がっています。
マイクの取扱説明書のようなこの図にもはじめから記載されているマイクの特性なんですね。
ということは、低音を強調したいときなんかはどうしたらいいかわかりそうです。
マイクに近づいたり遠くなったりしたら低音の感じがかわるのかーとわかってもらったところで次はマイクが収音する部分とのズレの話です。
こちらの記事で単一指向性についての説明をしましたので、まだご覧になってない方はぜひ見てください。
単一指向性のマイクはマイク正面の音をよく拾うという特性です。
正面の音を拾うマイクで正面からズレたらどうなるでしょう。
正面からズレた途端に音が消えるってことはないっていうのは感覚でわかるかと思います。
少しズレても音は入るから平気っしょ?って思うかもしれませんが、PAを通して大きな音で聞いてみると芯のない、太さのない音になってしまうんです。
距離感で音がかわると一言で言っても、収音する面との距離なのか、収音軸とのズレなのかでマイクに乗った音には様々な違いが出てくるのです。
歌詞や曲の抑揚、音程・ピッチやロングトーンで意識してみよう
では本題の実際にどうやってボーカルで距離感をコントロールして良いライブを作るかです。
具体例を挙げていきましょう。
例えば、曲の頭は静かに始まりAメロなんかは少しピッチが低めで大きい声では歌わないなんてことありますよね。
そんなときはマイクに口を近づけて近接効果をの特性を使い、大きな声を出さなくてもピッチの低めのAメロを太さを出して歌い上げましょう。
その後サビなんかは、声を張りあげてダイナミクスのあるメロディであれば少しマイクから離して[サ行]などの高音域のつんざく部分をマイルドにするのもいいかもしれません。
サビの終わりのビブラートのロングトーンなんかはゆっくりマイクから直線上に口を離していき声量でなく、マイクとの距離を利用してフェードアウトするのもきれいに聞こえるかもしれません。
このように、曲の中の様々な状況でマイクとの距離を考えることによって表現の幅を広げられる可能性があるのです。
スタジオで個人練習するのもよし
では、どうやって練習したらいいかです。
ライブをこなしていくだけで習得するのはなかなか難しいと思います。
楽器を練習するのと同じようにボーカリストもスタジオで個人練習をして、マイクで実際にスピーカーから出た音を聞きながら歌の練習をするのが1番だと思います。
マイクと口もとをどれくらいの距離をあけると音が遠く聞こえるか、すごく近づけるとどのように低音が増えるか、マイクの中央からどれくらい外れると音の芯がなくなっていくのか。
などなど、自分の耳で聞いて距離の感覚を掴んでいくことをおすすめします。
音を聞いて肌でその感覚を身につける
今回のマイクとの距離の感覚は一朝一夕で身につけられるものではないかもしれません。
しかし他の楽器とも同じで、家でクリックを流しながら上手くプレイできてもライブで他のメンバーに合わせて演奏するのではまた違ったテクニックが必要になるのです。
ボーカリストもライブで他と差をつけるには音程など歌唱力だけでなく、ライブで必要となるマイクの上手な使い方までも攻略することが鍵になってくるのです。
習得するのには練習も必要かもしれませんが、自在にコントロールできれば必ず1歩先のライブができるに違いないのでぜひチャレンジしてみてください!
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