【コラム】バンドマンがお金を稼げるようにといった話題が盛り上がってたので

コラム

つい先日とあるブログが話題になりバンドマンや関係者がそれについて議論をしていたのを見ていました。
罵り合うような討論をする内容ではないかなと思ってましたが、時に尖ったワードも見られSNS怖いなーと思っております。
特にその内容にどうこう言うわけでなくテーマとして面白いので私の音楽現場での経験から感じることを書いてみたいなと思いました。

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人気になることが目的になってないか

人気になって多くの人に聞いてもらえるのはもちろん嬉しいことですが、それがバンド活動の1番の目標になってない?という話です。
バンド音楽というのは昔からミュージックチャートに少なからず顔を出すものです。そこから昨今ではどこもかしこでもフェスやらサーキットイベントなど行われるようになり、今ではバンド音楽というものは、音楽に飢えたボロボロのジーンズとTシャツを着た男衆が地下の真っ黒い壁に囲まれ行われるものだけではなく、青空の下、ソーセージやらビールやらスイーツなどと一緒にハットをかぶってタオルを巻いてオシャレな格好をしたチャンネーも楽しむ商業的なイベントの1つになってます。私もティーンの頃はライブを見に行くのは怖かったくらいです。靴下にお札隠してました。
紅白にもSuchmosとかSHISHAMOとかWANIMAとか、ゴリゴリにロックフェス常連バンドが出る時代です。30年前はチェッカーズくらいしかいませんでした。おばあちゃん世代は???かもしれませんがそれだけロックバンド音楽も世間に浸透してるのは嬉しいです。

ロック音楽が大衆に浸透しているのはとても嬉しいのですが、それに起因してかバンドマンが売れる事やフェスに出演すること、メジャーデビューすることが第一目的になっていってしまってるのではないかということが危惧しているところです。私の思い違いだったらいいのですが…。
大規模なロックフェスの出演対象となるギターロックやメロディック系、ラウド系ロックのバンドマンは特にその考え方が根付いているような気がします。
私がそういったバンドの界隈で仕事をした際、〇〇のバンドが最近売れてる、どのフェスに出る、フォロワーが何人だ、メジャーデビューするだ、武道館でやるだ、とかの話をよく耳にするからそう感じているのです。
全員が全員そうではないと思います。

私はフェスのPAの仕事もアンダーグラウンドなジャンルのPAの仕事もします。

テレビや大規模なフェスに出なくてもたくさんのお客さんを熱狂させるアーティストはたくさんいます。
そのアーティストは自分の音楽を信じてひたすら磨き上げてきたらお客さんが増えていったという芸術としての音楽をした後の素直な結果にいきついたのだと思います。
音楽誌に出稿しなくても、レーベルのパイプを使わなくても、音楽チャンネルに広告料を払ってCMを打たなくても、良い音楽を続けていれば純粋に評価されるそんな世の中になってもらいたいです。

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なぜライブをするのか

ライブはお客さんに知ってもらうため、ファンを増やすためという話題がありました。
話が大きくなったのはそれだけがフィーチャーされたからではないでしょうか。
ライブをする理由にそれももちろんあるでしょう。けれど、お客さんが1人とか時に0人で対バンの出演者しかいないなんてライブでもライブ終了後に「今日は最高のライブができたなー!」と言ってるバンドもいます。
人気になることが目標になってしまっていたら理解できないことかもしれませんが、現実にはあるんです。
そのバンドがどんどん多くの人に目撃され人気になっていくのも見ています。
人気を急いでいない人もいるのです。
音楽が良いものであればノルマなんていらないからライブハウスに出てくれと頼まれます。
もっと良くなればギャラを払うから出てくれとなります。
自分のバンドの音楽を信じて磨き上げることができたなら、ライブをしていれば世間では無駄に思えるかもしれない定期的なライブも必ず日の目を見ます。

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音楽=お金を稼がなければいけないのか

音楽をやって飯を食えたら最高です。私もミュージシャンがいて仕事ができています。
大きなフェスイベントだったり人気アーティストがリリースするレーベルなんかはもちろんライブハウスだってバンドだって赤字が続けば破綻します。
だからと資金繰りを優先したら本質の音楽が蔑ろにされる傾向になると肌で感じます。
人気アーティストばかり集めてラインナップがめちゃめちゃなフェス、話題性を優先し人気プロデューサーが編曲して本来のアーティストの良さがスポイルされた楽曲、シーンの流行に合わせた曲作りで変な感じになってしまったバンド。
思い当たるところはたくさんあります。

話題になったブログの筆者もバンドを辞めてサラリーマンになったと書いてましたが、メジャー志向のバンドマンはアルバイトなどしながらバンド活動をしている人が多いと思います。
人気が出て音楽で生活ができるようになれば大成功でそれに越したことはないですが一握りです。
上手くいかなければ就職してバンドを辞めてしまうパターンも多いと思います。

対してアンダーグラウンドシーンではみんな正社員や独立しながら音楽活動を楽しんでいる人が多いです。
人気になることは第一目的ではないのでバンド活動を長く楽しんでいるように思えます。

仕事をしながら休みの日に音楽を追求していって人気が出て今では誰でも知ってるアーティストになってるバンドマンも知っています。

会社員なりでバンドのマネタイズを優先しなくてもいいくらいの余裕がある生活を得た方がバンド活動も円滑にできる気がします。
休みが合わせられないから出たいライブに出られない!という意見もあるかと思いますが、有給を使って海外ツアーを行っているバンドもいるくらいなのでやり方次第でしょう。

人気至上主義の活動で短命に終わるよりも音楽と向き合って寄り添い人生を共にするほうが健全だと私は思うのです。

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古い考え方

現代の、主にネットやウェブを使った音楽に関する発信方法はいろいろあるし、まだ試されていないこともたくさん考えられます。
しかし、わざわざ古いやり方をあえてやってることは音楽にはたくさんあります。
ライブハウスなんて顕著かもしれません。
いまだにライブハウスでは紙のフライヤーを刷って人力で人に手渡ししたりもしてます。
印刷するお金をTwitterの広告に出せばええやん、っていうのは効率で言えば正解かもしれませんがそうじゃないんですよね。
なんでか説明できない部分かもしれません。
でもそうするんですよ。
お相撲で何回も塩撒くの時間の無駄じゃない?投げるの1回にして取組増やした方が良くない?ってのもごもっともだけど、それはちゃうじゃないですか。たぶんそういうことだと思うんですよ。

吉野家はお客さんとのコミュニケーションを大事にするから食券使わないのも同じだと思います。
セルフレジだとかかる時間も減って人件費も減って効率も上がってビジネスとしては正解かもしれませんが人情みたいなものも減って冷たい社会にどんどんなってく感じするじゃないですか。
ライブハウスなんて真逆で非効率だけども人が交わる場所だからこそ古いやり方を大事にしていきたいとみんな思ってるからそうしてるんです。

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自分の知り得る環境以外の音楽がたくさんある

メジャー志向のロックバンドであれば、ノルマを払ってライブをすることに対してライブ配信したり、現代的なメディアやツールを使い効率的なアプローチをしたりマネタイズすることはすごく建設的な方法だと思いました。しかし、みんながみんな目標がそこではないということです。
ライブハウスで爆音でライブをする、それだけで最高だったりすることもあるし、路上で歌って目の前の人が足を止めてくれるだけで嬉しかったりするものです。
私も普段の仕事に関わる界隈のことはわかりますが、アンダーグラウンドアイドルシーンや、ネット上だけで完結する歌い手シーンや、クラシックや吹奏楽などなかなか関わらない音楽もあります。

様々な音楽があれば様々な目標や楽しみ方があるはずですし、全ての音楽に対しての答えなんてないはずです。だから面白いんだと思うし、取り決めなく表現できるのが芸術の素晴らしさでしょう。

この記事に関しても私の経験とその周りの情報だけで話しているので「そうじゃない!怒怒怒」って内容もあるかもしれません。気分を害されたらすいません。
何かを発信する時には自分の生きてきたものさしで考えて発言します。それが誰かに有益な情報として活用されることもあれば、その自分の経験の狭さゆえ燃えることもあるのが面白く怖いところでもあります。

でも全てのミュージシャンや音楽家やそれに携わる人に言えるのは音楽が楽しかったから、好きだからやってるってことだと思います。

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音楽を楽しんでほしい

1番伝えたいのはこれです。
当サイトでライブに関する音のアレコレを伝えているのもこの理由です。
良い音楽を作って良いライブをして楽しいのが本来の目的じゃなかったでしょうか。
初めて楽器を触って音が出る感動、初めてバンドで音を合わせて楽しかった感動、初めてライブで大きな音を出した感動、その衝動の延長線を楽しんで、それで人気が出たらフェスに出たってテレビに出たって金持ちになったっていいと思います。
バンド活動に息苦しくなることがあったら一度何も考えないで楽しく音楽をすることを思い出してみたらいいんじゃないでしょうか。

私は音楽が好きな人と一緒に何かを作っていきたいですし、音楽が好きな人が好きなんです。

コメント

  1. 重松ひろみ より:

    同期についてまさにその通りと思います。某バンドの曲をある鍵盤楽器で弾くようアレンジしたところ、完成したものは吹奏楽曲でした。逆になんでここにギターソロやドラムソロが出てくんの?と違和感があるほどに。確かにオケを入れると綺麗ですが、それはもうバンドサウンドとは言えないと思います。だから、ロックバンドと名乗っていても、ポップスに聞こえてしまうし、確かにいつ聞いても同じ、ライブハウスで弾いてるのにCD聴いてるのと変わりません。それでいて音楽性がどうこう言うのは噴飯物。データ作りが小器用なだけです。

    • onetwo より:

      コメントありがとうございます!
      私も概ね同意します…笑
      最近の楽曲は同期でたくさんのチャンネル数の楽器が演奏されています。数が多くなるほど別のアーティストでも同じような音像になるような気がするのです。
      3人ぐらいのアイドルだと誰が歌っているのかわかりますが、大勢のアイドルグループが全員で歌うところなど塊になった声はどのグループでも同じ音に聞こえます。

      しかし、今はそれがメインストリームです。
      しっかりとそれぞれの楽器の良さやグルーヴを味わうリスナーは少数派だと思います。
      資本主義は多数派にアプローチするので今はこのままでしょう。
      多数派、もしくは多数派を動かすマーケティングが変われば時代は動くのでしょうが…

      多数派の裏側ではアンダーグランドがそのカウンターをやっているので今はそれを楽しむのも一興かと思います。